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にこにこなおみちゃん(今でも思い出すと心が痛む話)


第一部 天使のなおみちゃん

15年くらい前の話になるのですが、当事家族ぐるみで親しくしていたYさん、、という家族がいました。 そこの長女で、なおみちゃんという、小学4年生くらいの可愛い女の子がいたのですが、この子は無口で、いつも静かに微笑んでいるような、、、なんか天使みたいな子なのです。 僕は、こんななおみちゃんが大好きです。  今日はこの、なおみちゃんのことを書きたいと思います。 

ある日の午後、電話が鳴ったので出てみると、Yさんの奥さんでした。 奥さんは苦しそうな声で、「身体の調子が悪いので、病院に連れて行ってほしい」と言うのです。 ご主人はというと、さっきから何回も電話してるけど、全然連絡がとれないとのこと。 僕は早速車でYさん宅へ行き、奥さんを乗せて病院へ行ったのです。 ところが、驚いたことに、かなり病状が悪いらしく、そのまま入院ということになってしまいました。 その時にまず思い浮かんだのが、今学校に行っているなおみちゃんのことです。 

なおみちゃんは学校から帰っても鍵を持たないので、家には入れません。 お母さんも緊急入院になってしまったし、どうしようかと思ったのですが、このまま学校になおみちゃんを迎えに行って早引きさせることにしました。 しかし、学校に近づくにつれて、ある不安が頭をよぎったのです。 と、いうのも、僕はこの時仕事が忙しく、2日連続徹夜で服は仕事着でペンキだらけ。 シンナーも使っていたので、かなり匂いも染み付いていたと思います。 さっき慌てて出てきたので髭も剃ってないし、髪はボウボウ。 「まいったなぁ、、」と独り言を言いながら、先生になんて言おう、、、と考えました。 

 「お母さんが倒れたので娘さんを迎えに来ました、、、、。」 

これって誘拐犯の台詞だよなー。(^-^;)



さて、そうこうしているうちに学校に着き、緊張した足取りで、いざ職員室へ、、。 

 「すみません。4年生の、Yなおみちゃんのお母さんが倒れて緊急入院したので、迎えに来ました、、。」

そこで一時、時間がストップ。 

 「はい??」

 「だから、あの、、緊急入院したんで、迎えに、、、、」 

「あの、、親戚の方ですか?。」 

「いや、違いますが、、、、、。」
(あ、変なこと言っちゃった)

、、また時間がストップ、、、。

 「あのー、、、、」

その時、僕の声を遮るように職員室がざわついて一気に緊張状態突入!!。  たちまち僕は、体格のいい体育会系の教師に囲まれ質問攻めに!!。

「あなたは誰?。」、「なぜ父親が迎えに来ない?。」、「どこの病院?」

質問攻めの僕。  、、、、その周りで、父兄の名簿から勤め先に電話する先生。 校長を呼びに行く先生。 校内放送で担任を呼ぶ先生で、その場がちょっとしたパニック状態に、、、。 

 
、、、、、いや、、もとい、、、パニックになったのは自分の頭の方でした。 大勢の中でたった一人、不審者扱いで、僕の味方は誰もいないのです!。泣  そんな中でも自分には一筋の望みがありました。 それは、なおみちゃんです。なおみちゃんが僕のことを「よく知っている人です」と証言してくれれば、この場は丸く収まるのです!。  なおみちゃん、早く来てくれ!。   その間も僕は相変わらず質問攻めに、、、。  

そうこうしているうちに、ランドセルを背負って、担任に付き添われたなおみちゃんの姿が!!。 廊下の角で担任が中腰になって、こちらを指差し、何やらなおみちゃんに言っています。 その口がこう動いたのを僕は見逃しませんでした。  

「ア ノ ヒ ト、シ ッ テ イ ル ヒ ト?」

 その場の先生たちもなおみちゃんに注目しています!。

「さぁ、なおみちゃん、僕のこと知ってると言ってくれ!」


「さぁ、お願いだー!、なおみちゃん!」


、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、











、、、、、、、、、、あぁ、、、、、、、、、、なおみちゃん、、、。 



なおみちゃんはこの日も無口で、天使のような微笑を、優しく浮かべるのでした。(^-^;)

僕はなおみちゃんが大好きです。泣





第二部 女教師悶絶

僕は必死。 先生たちも必死。 その中でなおみちゃんだけが天使の微笑み。(^-^;)

「この人、本当に知っている人?」 

先生たちは何回も確認します。 担任の若い女性教師は特に真剣です。 

「本当?、、知ってる人なの?」 「どうなの?」 「ちゃんと言いなさい」

その時、なおみちゃんがやっと小さく頷いた、、、ような、、?。  

すると、一番年長者の先生の「大丈夫でしょう。」の一言で、その場の緊張がなんとか和らいだのでした。 しかし、担任の先生だけは納得しません。 ついには「わたしも病院までついて行く」と言い出し、結局、一緒に車に乗せていくことになりました。

まぁ、一緒に病院に行ってくれれば納得してもらえるだろうし、、。 僕は安堵の気持ちでなおみちゃんと担任の若い女性教師を車に乗せて走り出しました。 

 しかし、時間帯は夕方のラッシュが始まる頃。 車は渋滞で、なかなか前に進みません。 これはまずいと思い、近道をしようと、大通りを外れて小さな路地に入ったその時!、



女性教師の叫び声がっ!!!。 


「あわてて急ブレーキを踏み、何事かと振り向いた僕に、彼女はこう言ったのです。  


「病院への道が違います!!!」

、、、、え?(^-^;)


、、、、、彼女は引きつった顔で、しっかりなおみちゃんを抱きしめて身構えております。   





皆さん、、、、、





この人って、たぶん、、、、





誘拐犯人のアジトに連れていかれると思ってるみたいなのです。(^-^;) 

、、、しかし、なおみちゃんはというと、相変わらず天使の微笑み。(^-^;) 

 
僕はこのコントラストが可笑しくって、ちょっとしたイタズラ心になったのも事実です。 え~、事実なのです。


僕はわざと細い路地を遠回りして病院に行きました。 そして、病院から遠ざかる度に後ろから何回も恐怖に震える声が、、、、。

「びょっ!!、、病院の、、、、、」

「方向、、、、、、。」

「ちっ、違います!!。」 

「あぅ~。」




、、、、、、病院に着くと早速、なおみちゃんのお母さんの元へ。 なおみちゃんはお母さんが入院しても、いつも優しく微笑んでいます。 僕はこんな、なおみちゃんが大好きです。






先生は横で半泣き状態でした。 めでたし、めでたし。(^-^) 
先生にはちょっと悪いことをしたかな。 今でも思い出すと少し心が痛む話です。

追伸、、、先生。 勘違いとはいえ、自分の身をていして、わが教え子を守ろうとしたその態度は立派であります。


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by CUBE_text | 2005-09-01 09:45 | その他、ネタ
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